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2001.11 NEW
黒坂黒太郎(正文)コンサートニュース
なんじゃもんじゃ 72号
今、イマジンを歌おう
奏でよう!
9月11日から変わった事 黒坂黒太郎いつものように葉っぱは色づき、空は深く、日本は美しい秋を迎えています。
でも今年の秋はその美しさの中に、なにか大きな陰りが見えます。秋はスクールコンサートのシーズン。全国アチコチの小中学校や高校の文化祭、芸術鑑賞会に呼ばれて行きます。そのスクールコンサートの雰囲気が大きく変わってきている、と感じています。たとえばこれまで「平和」という言葉は、子ども達にとってはとても古臭く感じられていたようで、いきなり子ども達にぶつけてもそれほど反応がある言葉ではありませんでした。それよりも「自分」とか「人生」という言葉の方が子ども達にスンナリ入りました。ところがあの日以降、この「平和」という言葉が一気に新鮮な言葉のトップにのし上がったのです。僕はコンサートで被爆樹コカリナの演奏をする前、必ず広島の話などをするのですが、その時の僕に向ける子ども達の視線は異常なほどです。それまでざわついていたり、下を向いていた子ども達も一気に集中し、しっかりと僕の話を聴き取ろうとする、その真剣さは見ていて可哀想なほどです。そしてその中に「おびえ」と「不安」が見えます。それは阪神大震災の時以上のものです。震災はまだ天災ですから、彼らなりの心の対処の仕方がありました。しかし今回は紛れもなく人間が引き起こしたことです。一般 の大勢の人の命を全く無視した残忍なテロ、そしてそれに向かう「報復」。「仕返しはいけない」、と子ども達に言っておきながら平然と仕返しをする。そして「仲間にならなければ取り残される」、とばかりに親分の尻に付いて行く私たちの国。親分が「報復だ!」「戦争だ!」と叫んでいるのに、「これはテロ撲滅の行動と解釈すべきだ」と日本人の好きな「解釈」をまた振りかざす。子ども達の「おびえ」と「不安は」単に戦争が自分たちの所にも忍び寄るかもしれない、という恐怖だけではない。それは「結局人間は解り合う事など出来ないものだ」、という虚脱感でもあります。これが子ども達の「人生へのあきらめ」につながらないようにしなければ、そう思います。
この秋私たちはジョンレノンの「イマジン」をレパートリーに入れました。国と国とが消えて、憎しみあう心も、殺しあう訳も、一つの心に溶けて行くよ
夢なんかじゃない変えていけるよ、いつの日にかひとつになるよ
これをコカリナと歌で奏でます。コカリナは譜面を作らず、全てをこの歌詞にゆだねてアドリブで演奏します。アメリカでは放送禁止だというこの歌を。
アイルランドへ行って来ました
何年か前、イギリスのランヅエンヅ(地の果て)と名付けられた、イギリスでは最も西の地へ行き、岸壁に立ちながらこの海の先がアイルランドか、と、いつか訪れることが出来る日を待ち望んだのでした。その時がやってきました。夢にまで見たアイルランド。ここは想像していたより遙かに素晴らしい国でした。
一つはやはり音楽。「♪音楽にあふれたデリーの町」とアイルランドの歌「私の愛した街」の中で歌われていますが、本当に どこへ行っても音楽がある。首都ダブリンではちょっとしたパブと言われるレストラン兼酒場では必ず生演奏。勿論ストリートでもみんなやってる。ホテルも外国人用の高級ホテル以外は一階のレストランがパブになっていてそこで歌って踊って大騒ぎなのです。不思議なことに公園ではやっていないので驚いたのですが、あれは、公園ぐらいは規制をかけなかったら、それこそ町中が音楽だらけになってしまい収拾がつかなくなるからだと想像しました。なぜなら僕たちが公園でちょっと練習しよう、とやっただけですぐに管理人さんがストップをかけてきたのですが、そのほんの5分ほどの間に人がどっと集まってきたのです。そして「それは何の笛だ」としきりに聞いて来たのです。ですからアイルランドで行った8回のステージはどれもこれもとても素敵なものになりました。ニーナという町での音楽フェスティバルは地元の子ども達の演奏する民族音楽とともにコカリナのステージを持たせてもらったり、障害者専用の病院、子ども病院、キルケニー音楽フェスティバル。そして極めつけはダブリンど真ん中グラフトンストリートでの路上演奏。ここでは演奏し始めた途端人垣がどっとできたばかりでなく、なんとお客さんからお金がジャラジャラと飛んでくるのでした。こちらはそんなつもりでなかったので、お金が僕らの周りに散らばってしまい、仕方がなくメンバーが帽子を脱ぎその中に入れてもらうようにしたら、入るわ入るわ、あっと言う間に4000円ほども集まってしまいました。それらのお金は全部子ども病院に寄付させてもらいました。そんな風にどこへ行っても生の音楽に溢れている国。カラオケは全くない、コンビニもない、自動販売機もない、音楽をやりながらビールやワインをしこたま飲むのに「酔っぱらい」はいない。ホームレスも全く見ることはなかった。
そしてこのアイルランドのもうひとつの素晴らしさは、この国が核兵器廃絶のために世界の先頭に立っているということでした。実を言うと、今年の夏は広島で国際平和シンポジウムなどに出演、広島の熱気が自分の中に渦巻いており、そのまますぐに別 の世界に踏み込むことには少し躊躇がありました。が、そんな思いを引きずって出かけていったアイルランドに「ヒロシマ」がキチンと存在したのでした。核兵器廃絶への意識が高いのは政府だけではない。人々の中にもそれが浸透しており、毎年8月6日の全国紙のトップを飾るのはヒロシマなのだそうです。ですから僕が持参した被爆樹コカリナには大変な関心を示してくれました。「平和と音楽の国アイルランド」。現地の人々も是非来年も来い、と言ってくれたことですし、参加者の皆さんも大変満足してくださったようですので、来年もこの旅を行おうと思っています。是非ご一緒しましょう。2月にはこの旅をコーディネートしてくださったカレン神父(日本に30年以上住むアイルランド出身の神父さん)とコカリナアイリッシュミュージックの集いを行う予定です。
2001年夏、広島にて
今年の広島はいつもよりずっと長い滞在になりました。8月2日に広島入り、3日は国際会議場で開かれた広島市、朝日新聞などが主催する「国際平和シンポジウム」でコカリナを演奏させていただきました。被爆コカリナ。元国際司法裁判所の副議長さん、元カナダの外務大臣など世界の平和を率いるトップの方達にもこのコカリナの音色を聴いていただきました。終了後それらのみなさんが絶賛してくださり、アメリカの平和運動家の方は来年1月に開かれるネイティブアメリカンの集会でのコンサートを約束して下さいました。5日は広島県体育館大アリーナで持たれた生活共同組合の「虹のつどい」でのコンサート。夜は原爆ドーム前で開かれていた平和コンサートに、とび入り出演。そして6日は「世界子どもの平和像・広島」の除幕式、完成祝賀会で演奏。その後NHKテレビの中継で原爆の子の像の前で演奏、と慌ただしく過ごしました。それにしてもこの広島でもコカリナが出会わせてくれる力は凄い。海外の代表だけでなく、広島市の秋葉市長さん、そしてさらにはそれぞれのコンサートで必ずと言っていいほど被爆者の皆さんから、「私達を励ましてくれる素晴らしい音色です」と握手を求められました。そして、最後にはなんとも不思議な事が起こりました。8月6日の夜10時ごろ全てのスケジュールが終わりホッしたところで、市内でビールをひっかけ、その後再び平和公園に向かいました。実は僕は広島で一番好きなのはこの時間です。数十万人の人が集まった昼間の喧騒とはうって変わって人はマバラ。灯篭流しの残り灯篭がただよう川辺をじっと見ながら静かな時間を過ごせます。そして、人間の生と死についていろんな事を考えます。僕はしばらく灯篭を眺めていたのですが思わずポケットに忍ばせていた被爆樹コカリナを取り出し灯篭達に向かって吹き始めました。すると何ということでしょう。それまでマバラだった灯篭達が僕の前に集まってくるではありませんか?そして彼らはそれから僕の前を全く動こうとしません。仕方がないので僕はずっと繰り返し何曲も演奏しつづけました。それは単なる風の悪戯だったのでしょうが、原爆で亡くなった子ども達の霊が集まって来たようにも見えました。灯篭達に向かい僕は被爆樹コカリナの音色を平和の祈りとして世界に伝える事を誓いました。年が明けたらすぐ、アメリカシアトルで開かれるネイティブアメリカンの皆さんの集会でこのコカリナを演奏する予定です。
8月6日朝日新聞の朝刊「天声人語」、読売新聞の朝刊「編集手帳」に被爆コカリナの事が書かれました。
吉永小百合さんとの
平和コンサートin新潟今 新潟で被爆者の皆さんが主催してくださり、「吉永小百合原爆詩朗読と黒坂黒太郎コカリナコンサート」がもたれました。これは今年の一月新潟でもたれた新潟おやこ劇場主催のコカリナコンサートで「被爆樹コカリナ」を披露したことにより実現したものです。チケットは一ヶ月前に売り切れ、(やはり小百合さんの人気でしょう)当日は「新潟コカリナ合奏団」の子ども達も登場、何曲か演奏してくれました。
この日のプログラムは被爆樹コカリナの「空」「一本の樹」、そして新潟の詩人遠藤春子さんが被爆者である夫との生活を詩にしてできた新曲「足くらべ」。そして、やはり「今平和を歌わねば」、とアイルランドの歌「私の愛した街」、「イマジン」。これらを矢口周美が歌いそれにコカリナを付けてやってみました。「私の愛した街」はバリトンコカリナで、「イマジン」はソプラノトリプルでアドリブで演奏したのですが、なかなか好評でした。
吉永小百合さんの朗読も、さらに深みを増して、人々の心にずっしりと入って来ました。吉永さんと一緒に東京から来られた津田塾大の先生が、たまたま「私の愛した街」の横井久美子さんの友人だったりして、話は盛り上がってしまいました。吉永小百合さんとはまたやれたらいいですね。
●あなたの町でも黒坂黒太郎コカリナコンサートを!
被爆樹の音色も是非お聴き下さい。
5、60人から数千人規模までできます。
詳しくは 黒坂音楽工房 03−5626−1581
ファックス 03−5626−1568
Eメールアドレス kuro@waltz.plala.or.jp
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