コカリナの世界へようこそ

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2002.7
 韓国から帰って休む間もなく、すぐにこの三つの町村へ出かけました。二ツ井では、ここで開かれた自治体環境会議のゲストとして招かれ、さらにその夜は「きみまち坂」という名勝でライトアップコンサート。 このコンサートには二ツ井町婦人会のコカリナグループの皆さんが登場してくれ二ツ井製のコカリナで演奏してくれました。終了後、公認製作者の皆さんとコカリナ談義。この町には6人もの公認製作者の皆さんがいるのです。コカリナの話は話しても話しても尽きない。そして翌日は、山菜取り、ワラビに天然のジュンサイ(秋田名物)そしてタケノコ。タケノコと言ってもモウソウダケではない。信州志賀高原のほうではネマガリダケと言ってるモノと同じ(?) ともかく山岳地帯にしかなく命がけでとるくらいに美味なやつ。ちょうど時期が良かったのか大量 にゲット。それらを具にし、山でやった鍋はもう絶品でした。
  そして後ろ髪を引かれながら今度は福井県和泉村。福井県の奥の奥、と言った感じの村。ここに「青葉の笛」という鎌倉時代から守られている笛があり、毎年笛のコンサートをやっていらっしゃるとのこと。初めて行ったところなのですが、役場の皆さんもとても暖かく迎えてくださり、大感激。ここにも近隣のコカリナグループが登場して演奏してくれました。素晴らしい自然がある村でもっと滞在したかったのですが、ここでも後ろ髪を引かれながら今度は京都芦生に向かいました。
 芦生は言うに及ばす日本で最初にコカリナが作られた所。京都と言っても、もう福井県との県境、背後に京都大学演習林という膨大な広さの森を抱え、人々は山菜加工と木工で生計を立てています。ここに新しい宿泊施設「やまの家」が誕生、その開館記念でコンサートを計画していただきました。直径60センチもあろうかと思えるほどの丸太を梁に使った山の家は壮観。その丸太に思い切りコカリナの音を響かせコンサートをさせていただきました。終了後ここでもコカリナ製作者の坂中さん(和製コカリナを初めて作った人)鈴木さん、理事長の今井さんとコカリナ談義。煮えたぎるイノシシ鍋そっちのけで議論白熱。コカリナのこの7年を思い起こす夜になりました。翌朝夜中の雷が嘘のような晴れ渡った朝。久しぶりに芦生の森に入りたいと思ったのですが、僕は中級講座があるため、ここでも後ろ髪を引かれ泣く泣く東京に向かいました。
 三つの町村を終え、そのどの地域にも心地よさを感じ、後ろ髪を引かれ去ったのですが、帰り際、新幹線の中でふと、「そう言えば僕の旅は益々山間僻地に入っていく」と思ったのです。でもこれが我が師、故宮本常一先生が指し示した道なのかも知れません。今また宮本先生の言葉が蘇ります。「人々の暮らしの中にこそ文化がある」と。


韓国光州事件メモリアルホールで演奏


 5月、また、韓国でコンサートを行いました。ひさしぶりの韓国、その変容ぶりに驚きながらも、この国の変わらぬ 熱気に包まれながらのコンサートツアーでした。  思えば今から11年前、まだ半分軍事体制下にあった韓国に、日本に留学していた韓国人学生達の招きで乗り込んだのでした。当時は日本語のコンサートは完全禁止、日本人ミュージシャンのコンサートなど全く行われていませんでした。そんな中で決死の覚悟で行った韓国。案の定、コンサート開始前にアンギブ(安全企画部とよばれる日本の特高警察のようなもの) から「中止せよ」という命令が下り、僕は完全にビビってしまい、「やめよう」と主催者に促すのですが、「韓国でそんなことにひるんでいたのでは生きていけない」と彼らは全く取り合わない。聞いてみると主催者の殆どが前科者(勿論政治犯)だったのでした。  そんな中で強行したコンサート。アンギブが押し掛けて来て、会場の入り口で入場者を全員チェッック。にもかかわらず、会場は超満員。思い切り盛り上がりました。まさに今回のW杯の韓国のサポーターのアレです。そして途中から主催者がアンギブの警察官に「そんなところで見張ってないで中に入って楽しめ」と誘い、彼らまでコンサートに参加、一緒に歌い腕を振り上げ楽しんだのでした。そして終了後、会場の外に置いてあった埃だらけの車に、指で「サランヘヨ・クロサカ」(愛してるよクロサカ)とハングル文字で大きな落書きが。翌日の新聞もテレビも大きくコンサートを紹介してくれ、大感激でした。ところが同じようなコンサートをいくつか終え、帰国前日、ホテルで同宿した日本人の大学教授から「君、新聞見させてもらったよ。派手にやってるようだけれど、危ないよ。明日帰るのだったら、空港のイミグレーション(出国ゲート)まで日本の新聞社の特派員に付いていってもらった方がいい。この国は何があってもおかしくない」と。あたかも、タダでは日本に帰してもらえないだろう、とばかりの忠告。戦慄と緊張の出国でした。幸いにもまだ、それほどコンピューターで管理されていなかった頃、そのためか無事帰国できました。でもこの時ほど韓国を「近くて遠い国」と感じたことはありませんでした。  その後は少しほとぼりが冷めるまで韓国行きを控えました。ところが今度は向こうからKBSという日本のNHKのような放送局がやって来て、一週間ほど日本の僕に同行取材、「NHK特集」のような長時間番組にして韓国全土で放送してくれました。「韓国に思いを寄せる日本人歌手」そんなタイトルだったと思うのですが、このあいだ、たまたま我が家に遊びに来た、長女の友人の韓国人女性も、「私、高校生の時その番組見た」と感激して語ってくれたのですから、かなりの人が見てくれたのでしょう。ファンレターが韓国から何通 も来ました。その中の一人が、今回光州のコンサートに招聘してくれたキム・チャンホー氏。彼は学生の時この番組を見、その後、軍隊に招集されたのですが、除隊したらプロデューサーになろう、そして色んなミュージシャンを韓国に呼ぼう、そして、この日本人ミュージシャン黒坂も必ず呼ぼう、と、夢を描いてくれたのだそうです。  光州という町は、韓国の南に位置する140万都市なのですが、今から22年前、当時の全斗煥(チョン・ドファン)軍事政権によって街全体が制圧され、学生や労働者200人あまりが殺害され、数千人が負傷するという光州事件が起きたところです。今、この町は民主化された韓国にあって、金大中大統領の出身地でもあり、「民主と平和の聖地」、と呼ばれています。

 今回は客席1000人ぐらいのホールで韓国のプロの音楽家達とやらせていただき、とても楽しかったのですが、実は今年に入ってすぐ、キム・チャンホーからコンサートの企画書が英文のファックスで届きました。それを見てびっくり仰天。タイトル「ピースコンサート・イン・グアンジュ(光州)」、観客規模5万人、そして、出演者 マライアキャリー(USA)、ボンジョビ(USA)、黒坂正文(日本)、その他韓国のミュージシャン。事務所一同、「なんだコリャー!」と大騒ぎになりました。「一体全体どういう事なのだ?」と現地に問い合わせると、キム・チャンホー氏は「金大中大統領のノーベル平和賞一周年を記念して、国家予算で大々的に行いたい。あなたは日本を代表するミュージシャンだ」と言う。なにか相当勘違いしてるのではないか、そんなビッグイベントなら日本にはもっと他に適切なミュージシャンがいるだろうに、と思ったのですが、彼は「これはピースコンサートなのだ、どんな日本のミュージシャンより貴方がもっともふさわしい」と言う。半信半疑で引き受けることにしました。  ところがやはり、3月に入ってすぐ「今回は難しくなった」、と連絡が入りました。理由は金大中大統領の身内の不祥事のためコンサートの予算が国会で否決されてしまった、とのこと。僕は半分ホットしながら「なんだ、やっぱり、韓国人特有の大風呂敷だったのか」と思ったのですが、その後すぐに「マライアキャリーやボンジョビは呼べなくなったけど黒坂だけは呼びたい」と。そして、今回のコンサートになりました。

光州事件慰霊祭に集まる人々
犠牲になった先輩の墓の前で
民主主義の歌を歌う高校生

 コンサートでは僕が11年前韓国と日本の友好のために作った「アポロジース・チング(ごめんなさい、そして友よ)」を日本語と韓国語で歌い、矢口が「一本の樹」を手話で歌い、そして被爆樹コカリナの演奏。これは広島だけでも2万人の犠牲者が出たと言われる朝鮮人原爆犠牲者に捧げ、演奏しました。お客さんはコカリナの音に耳を傾け、涙し、終了後鳴りやまぬ 拍手をしてくれました。翌日光州を発つとき、キム・チャンホーが送りに来てくれ、「やはり貴方を呼んで良かった。みんなとても良かった、と言ってくれている。私の10年来の夢がかなった」と涙ながらに握手を求めて来ました。そして、別 れ際「本当にごめんなさい。来年は絶対マライアキャリーとやるからね」と。僕は思わず、言い返しました。「ケンチャナヨ」(無理するなよ)。でも帰国後、韓国のワールドカップの試合を見ていたら、(特に準決勝に進んだスペイン戦は光州で行われたのですが)彼らだったら、国家予算などなくても本当にやってしまうかもしれない、と思えてきたのです。しばらくぶりに復活した韓国との行き来、今後も続きそうです。



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(有)コカリナ楽器 03−5626−1581
     ファックス03−5626−1568

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  被爆樹の音色も是非お聴き下さい。
  5、60人から数千人規模までできます。

 詳しくは 黒坂音楽工房 03−5626−1581
       ファックス 03−5626−1568
          Eメールアドレス kuro@waltz.plala.or.jp

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